Hospital Data
東京科学大学病院
周産・女性診療科 教授
宮坂 尚幸先生
専門
- 周産期中枢神経障害
導入の背景
- NICUを設置することとなり、周産期連携に対応できるシステム導入が必要だった
導入の決め手
- 時系列でデータを表示でき、必要な情報を一画面で把握できる
- 各種機器との連携、データの自動取り込みができる
- 柔軟なカスタマイズ対応
導入の効果
- 基礎疾患入力欄の活用で、医師・助産師間の情報共有不足が解消
- 統計作成にかかる時間が大幅に短縮、業務効率化を実現
- 若手の実践的な指導ツールとしても活用
――システム導入を検討されたきっかけについて教えてください
2006年頃、全国で「妊婦のたらい回し」などの問題が相次ぎ、産婦人科医療の課題が社会問題として注目されました。加えて、2004年に導入された新卒後臨床研修制度の影響により産婦人科でも新規入局者が減少、分娩取扱施設の縮小が全国的に進みました。
東京都内でも「分娩難民」が増え、当院周辺でも分娩の取り扱い中止やNICUの一時停止をする施設が相次ぎました。
そのような中、国は、すべての国立大学附属病院へのNICU設置を要請、当院でも対応を進めることに。当院では早産児や低出生体重児に加え、合併症を持つハイリスク妊婦の受け入れも視野に入れた独自の方針を策定。そのためには、分娩から新生児期まで一貫して支える仕組みが必要でした。
こうした中で「周産期に特化したシステム」として、取引先から紹介されたのが「ハローベイビープログラム」でした。
――導入を検討される中で、特に重視されたポイントは何ですか。
導入のポイントとなったのは、
・時系列でデータを表示でき、必要な情報を一画面で把握できること
・エコーやCTGなどの各種機器と連携し、データを自動で取り込めること
・施設ごとの運用に合わせた柔軟なカスタマイズ対応が可能なこと
といった点でした。
周産期では、妊婦健診の時系列のデータをもとに診療方針を考えていく必要があります。
病院全体が紙カルテだった時代は、紙での記録でも特に支障はありませんでした。
しかし、基幹電子カルテに切り替わってからは時系列で記録されているデータを一覧で確認することが難しく、産婦人科では必要な情報を紙に記録しながら診療を行っていました。
さらに、紙に記録した情報は別の場所で保管していたため、情報管理の手間が増えたことに不便さを感じていました。
こうした状況を改善できないかと考え、具体的に周産期に特化したシステムの導入を検討するようになりました。
その中で、エコーで測定した情報が自動で電子カルテに記録されるような仕組みがあればと希望を伝えたところ、「それができますよ」と応えてくれたのがミトラでした。
各種機器ともスムーズに連携できる点も非常に魅力的で、今でもその印象は強く残っています。

――使用してみての感想はいかがでしたか。
導入して特に助かっているのは、妊婦健診の経過を時系列で確認できるようになったことです。
たとえば妊婦さんの血圧や、赤ちゃんの推定体重の推移をひと目で把握できるようになり、これまで手書きでグラフにプロットしていた作業が不要になりました。
通常の電子カルテでは、こうした情報を一覧で見ることが難しく、エコーで測定したデータも紙に書き出してロッカーに保管していたほどです。
ハローベイビープログラムを導入してからは、機器連携によりエコーやCTGのデータも自動で取り込めるようになり、手間が大きく減りました。
以前はタブレット端末で別に見ていたCTGデータも、今では電子カルテ上でそのまま確認できるようになり、大変助かっています。
特にありがたいのは、妊婦健診画面で基礎疾患の有無や分娩方針、検査項目などの情報を一画面で把握できること。
検査漏れもひと目でわかり、外来や病棟での情報共有がとてもスムーズになりました。
さらに、施設の運用に応じて柔軟にカスタマイズが可能で、細かな要望にも丁寧に対応いただける点も大きな魅力です。
使い勝手も非常によく、現場としては本当に助かっています。
――導入後にどの様な効果を感じていますか。
システム導入前までは、妊婦さんの基礎疾患やリスク情報は、個人の記憶や口頭でのやりとりに頼る場面もありました。
特に、当院は大学病院で、基礎疾患や合併症を抱える妊婦さんも少なくありません。
妊婦一人ひとりの状態に合わせた柔軟な対応が求められるため、個別の情報を正確に把握することが非常に重要でした。
現在は、ハローベイビープログラムを活用して基礎疾患やリスク情報など、必要な情報を記録・共有することで、医師と助産師間での情報伝達が確実になったと感じています。
また、合併症症例の抽出や統計作成にかかる時間が大幅に短縮され、学会発表や報告資料の作成もスムーズになった点も、大きな効果です。
患者数は増加していますが、業務時間が確保できるようになったことで、以前は難しかった週1回の周産期カンファレンスも行えるようになり、ハイリスク妊婦の情報をもとにチーム全体でケア方針を検討できる体制が整いました。
この周産期カンファレンスは、診療だけでなく教育の場としても大きな役割を果たしています。
当院は、大学病院ということもあり、診療体制の整備はもちろんですが、若手医師の育成も非常に重要だと考えています。
そのため、周産期カンファレンスでは、若手医師が事前にしっかりカルテを読み込み、「この妊婦さんはこういうところが問題になりそうだ」といった視点で備考欄に要約を記載し、発表する機会を設けています。
このプロセスを通じて、若手医師は周産期診療の考え方や、何に注目すべきかを学んでいきます。
周産期は基本的には「病気ではない方」が対象になりますが、いつ何が起きるか分からない。
その中で、起こりうるリスクをあらかじめ予測し、それを防ぐにはどうすればいいか、何か起こり始めたときにどう対応すべきかを考える視点が求められます。
周産期カンファレンスでは、そうした視点を若手医師がどれだけ持てているかも見えてきます。
教育的な観点でも、ハローベイビープログラムの備考欄が非常に役立っていると感じています。