コラム

2025.05.22

医療×システム開発の現場から 〜元培養士が“今”届けるリアル〜 Vol.1

はじめまして。

ミトラで医療システム開発に携わっているOです。

私は、もともと医療現場で「胚培養士」として働いていました。

 

現在は、開発チームの一員としてシステムの開発や改善に携わると同時に、医療機関の現場にも足を運び、システムの仕様に関する打ち合わせや調整などを担当しています。

 

現場の運用や業務の流れを理解しているからこそ「どうすれば本当に使いやすいシステムになるのか」を意識しながら、日々取り組んでいます。

 

こうした仕事に就くようになった背景は、培養士として働くなかで感じたある思いがきっかけでした。
今回はそのあたりから、お話を始めてみたいと思います。

 


 

私は、胚培養士の仕事に誇りを持っていました。

毎日が緊張と責任に満ちていて、“誰かの家族のはじまり”に関わることに、大きなやりがいを感じていました。

 

しかし、日々の業務をこなすなかで、ふと感じたことがありました。

「仕組みを整えることで、より広く、持続的に現場を支えることができるのではないか」と――。

 

連載コラム、第1回目は

私が培養士を辞めてミトラに転職した理由 についてお話します。

 

「新しい命を手のひらに」胚培養士として過ごした日々

培養士の1日は、採卵された卵子と精子をお預かりするところから始まります。

そこから、「受精」そして「培養」という、とても繊細な作業が続いていきます。

 

中でも、ICSI(顕微授精)と呼ばれる技術では、直径わずか0.01mmという極細のガラス針を使い、たったひとつの卵子に、ひとつの精子を丁寧に注入していきます。

目に見えないほど小さな世界で行う、この精密な作業の積み重ねが、新しい命の始まりに深く関わっているのです。

 

扱うのは非常にデリケートな検体。

ほんの少しのミスが妊娠率に影響することがあるため、何よりも集中力と正確さが求められます。

日々、数十件に及ぶ胚の観察や発育状況の記録、凍結処理をこなしながら、「この作業が将来の妊娠につながるかもしれない」そんな思いを胸に、緊張感と責任を持って向き合っていました。

 

私たち胚培養士の手の中で始まった命が、やがて誰かの笑顔へつながっていく。

そう信じられたからこそ、私はこの仕事に誇りを持ち、向き合い続けることができました。

 

 

それでも私が「培養士を辞めよう」と思った理由

培養士として働いていた当時、私は日々、培養記録や申し送り事項を電子カルテなどのシステムに入力していました。

しかし、現場の情報管理は全て一元化されておらず、ある情報はExcelで、別の情報は紙で――と、管理方法がバラバラでした。

そのため、電子カルテ上の申し送りに情報の抜けや見落としが生じるリスクもあるのではないかと、「正確な情報伝達」という点で課題を感じる場面もありました。

 

さらに、蓄積された情報を集計・分析しようとした際、Excelでは扱えるデータ量や操作性に限界があることを痛感しました。

業務をより効率的に、確実に進めるには、根本的に「仕組み」を見直す必要があるのではないか――そんな思いが、次第に強くなっていったのです。

 

「自分の手で現場を支える」ことはもちろん大切。

ですが、「仕組みを整えることで、より広く、持続的に現場を支えることができるのではないか」そんな考えが、私の中に芽生え始めていました。

 

そして、私は「つくる側」へ

現場で感じた課題を、自分自身の手で解決できる環境に身を置くことで、もっと多くの人を、そしてもっと持続的に支えられることができる――。

 

そう考えた私は、培養士の道を離れ「生殖医療システムの開発」に携わる仕事に転職する決心をしました。

 

そうして出会ったのが「ミトラ」だったのです。

 

現場の経験を活かして、システムで医療現場を支える

現在、私はその想いを胸に、生殖補助医療の現場を支えるシステム開発や、病院が使いやすいシステムの立案に取り組んでいます。

受精や培養の現場で培った経験を、今は「仕組みづくり」という形で現場に還元しています。

 

かつて感じた小さな不便や、業務の中で抱えていた不安、そして緊張感――そうした見えにくい苦労に、技術を通じて寄り添っていきたい。


その思いを原動力に、現場を少しでも楽にし、命の誕生を支える医療従事者たちがより集中できる環境を作ることが、今の私の役割だと感じています。

 


弊社の製品は、生殖医療の現場を支え、医療従事者がより効率的に安心して業務を進められるようサポートしています。

下記より詳細をご覧いただけます。

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