コラム

2025.06.27

電子処方箋で変わる医療のこれから

最近、「電子処方箋」という言葉を耳にする機会が増えました。

 

電子処方箋の導入が進むと、医療はどう変わるのか?

それとも医療現場に新たな負担が生まれるのか?

 

実際のところ、どうなのでしょうか?

今回は、病院・患者様それぞれにとっての電子処方箋のメリットや課題、そして今後の可能性についてお話しします。

 

電子処方箋とは?

「電子処方箋」とは、これまで紙媒体で発行していた処方箋を電子化し、医療機関・薬局間でやり取りできる仕組みのことです。

この「電子処方箋」ですが、従来の紙の処方箋と何が違うのでしょうか?

 

  • 紙の処方箋

患者様が病院で処方箋を受け取り、薬局に持参をする

  • 電子処方箋

医師が処方した薬の情報がオンラインで管理され、患者様が薬局で識別情報(マイナンバーカードや健康保険証)を提示することで、薬局側で処方情報を取得できる

 

厚生労働省も「医療DX(デジタルトランスフォーメーション)」の一環として電子処方箋の導入を推進しており、2023年から本格的に運用が始まっています。

 

医療現場での変化

電子処方箋が導入されることで、医療現場にはどのような変化があるのでしょうか?

ここからは、電子処方箋の導入による医療現場のメリットや課題についてお話していきます。

 

メリット


① 処方ミス/の低減

手書きの処方箋では、筆跡が読みにくいことで誤読が発生することも。電子処方箋では、処方内容がデータとして記録されるため、読み間違いや記入ミスの防止、薬剤の相互作用チェックも容易になり、より安全な医療提供が可能になります。

また、処方履歴が電子データとして管理されるため、過去の薬の服用状況をすぐに確認でき、重複処方や飲み合わせの問題を未然に防ぐこともできます。

 

② オンラインで完結できる

これまで主流だった紙の処方箋では、患者様が処方箋を薬局へ持参する必要がありました。しかし、電子処方箋を導入すれば、診察から処方まですべてオンライン上で完結することが可能になります。

オンライン上でデータのやり取りが可能になることで、薬局側も事前に処方内容を確認できるため、薬の準備がスムーズになり、患者様の待ち時間が短縮されます。特に、調剤に時間がかかる薬や在庫確認が必要な薬の場合、薬局が事前に準備を進められるため、患者様の負担軽減につながります。

 

③ 管理の効率化

過去の処方履歴が電子データとして保存され、医師がすぐに確認できるようになるため、薬の重複処方や飲み合わせのリスクも低減し、より安全な医療提供が可能になります。

また、電子データなら院内での情報共有も簡単になり、医師・看護師・薬剤師間の連携が強化されます。

 

課題


① システム導入の負担

電子処方箋を導入するには、専用のシステムを導入し、医療機関と薬局双方で運用できる環境を整える必要があります。

導入コストや、現場の医療従事者がシステムに慣れるまでの時間も考慮する必要があります。

 

② スマートフォン操作に不慣れな人へのサポート

患者様はスマートフォンからマイナポータルを通じて処方履歴を確認できるようになりますが、特にご高齢の方の中には「スマホ操作が苦手」という方もいます。

医療機関や薬局側が対面での説明やパンフレットの配布を行うなど、サポート体制の整備が求められます。

 

「最初は慣れるまで大変だった」という声もありますが、一度軌道に乗れば、より安全で効率的な医療の提供が可能になります。

 

患者様にとっての変化

「紙の処方箋の方が慣れているし、わざわざ変える必要ってあるの?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、電子処方箋には患者様にとっても大きなメリットがあります。

 

① 処方内容をスマートフォンで確認できる

患者様は、マイナポータルを通じてスマートフォンからいつでも処方履歴を確認できるようになります。

「あれ?どんな薬をもらったっけ?」ということがなくなり、特に、家族の通院の付き添い時には、処方内容をすぐに確認できるため便利です。例えば、子どもや高齢の家族の受診時に、医師や薬剤師からの説明をあとで見返したり、次回の診察時に前回の処方内容をスムーズに伝えたりすることが可能になります。

また、家族が服用する薬の管理がしやすくなることで、飲み忘れや重複服用の防止にもつながります。

 

② 紛失の心配なし

紙の処方箋は持ち運ぶ必要があるため、紛失してしまうと再発行が必要になります。

しかし、電子処方箋ならうっかり無くしてしまっても再発行の手間がかかりません。

特に、高齢の方や小さなお子さんを連れている方は、荷物が多くなりがちです。処方箋を紛失してしまうリスクがなくなることで、受診後のストレスを軽減できます。

 

③ 旅行先や災害時でも安心

データがオンラインで管理されるため、旅先や災害時など、かかりつけの病院以外で診察を受ける場合にも役立ちます。

例えば、旅行中に体調を崩し、普段とは異なる医療機関で診察を受ける際、電子処方箋対応の医療機関や薬局であれば、処方履歴をすぐに確認できるため、医師が適切な処方の判断をしやすくなります。また、地震や台風などの災害時には、かかりつけの病院が利用できないこともあります。そのような状況でも、電子処方箋のデータが残っていれば、他の病院や薬局でスムーズに対応できるため、安心感が高まります。

 

電子処方箋は、普段の生活だけでなく、緊急時にも大きなメリットをもたらします。

処方情報がデジタル化されることで、より安心して医療を受けられる環境が整いつつあります。

 

最後に

電子処方箋は、始まったばかりの新しい仕組みですが、これからの医療には欠かせないものになっていくでしょう。

 

ミトラが提供する調剤薬局様向け「かかつけ薬局支援システムYuP!」では、電子処方箋にも対応しております。

ビデオ通話を利用したオンライン服薬指導も可能なため、薬局・患者様双方の負担の軽減、業務の効率化をサポートいたします。

 

 

■「かかりつけ薬局支援システムYuP!」

YuP!は、処方箋の受付から服薬指導後のフォローアップまで、調剤薬局の業務全体を効率化する専用システムです。

業務負担を軽減し、患者様への迅速な対応を実現、患者様の満足度向上を支え、かかりつけ薬局化へ繋げるサポートを行います。


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