はじめに|現地視察から、日本での学びへ
株式会社ミトラでは、経済産業省「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)に採択され、インドネシアにおける母子保健の向上を目指した実証事業を進めています。
本事業では、産婦人科向け電子カルテと妊婦向けアプリを組み合わせ、インドネシアの医療環境に適した母子保健モデルの構築を進めています。
前回は、当社社員と埼玉医科大学病院の先生方がインドネシアを訪問し、実証医療機関での視察や現地医療従事者との意見交換を行いました。
今回は、次のステップとして、インドネシアの産婦人科医をはじめとする医療従事者を日本へ招き、日本の医療機関を視察いただきました。
視察では、周産期医療の現場に加え、当社の産婦人科向け電子カルテが日々の診療でどのように利用されているのかを見学いただき、日本とインドネシア双方の医療従事者による意見交換も行われ、それぞれの医療現場の違いや運用上の課題について理解を深める機会となりました。
前回のインドネシア訪問の様子はこちら
インドネシアで進める母子保健モデルの構築
インドネシアでは、地域による医療資源の偏在や、妊婦健診の受診率、妊娠中の健康管理に関する情報提供など、母子保健に関するさまざまな課題があります。
本プロジェクトでは、産婦人科向け電子カルテと妊婦向けアプリを組み合わせることで、医療従事者と妊婦をつなぎ、継続的な健康管理を支える仕組みづくりを進めています。
ただし母子保健モデルは、システムを導入するだけで完成するものではありません。
実際の診療の流れや、医師・助産師・看護師の連携、患者さんへの説明方法など、現場の運用に合った形で継続して活用されることが重要です。
そのため本プロジェクトでは、システム開発と並行して、日本とインドネシアの医療従事者が互いの医療現場を知り、運用方法について意見を交わす機会を設けています。
今回の日本での視察も、その取り組みの一つとして実施しました。
埼玉医科大学関連施設を視察
今回の視察では、埼玉医科大学病院、埼玉医科大学総合医療センター、埼玉医科大学国際医療センターを中心に見学を行いました。
それぞれの施設が周産期医療、急性期医療、高度専門医療などの役割を担いながら、診療・教育・研究が連携する大学病院ならではの医療体制について説明を受けました。
埼玉医科大学総合医療センターでは、国内でも長い歴史をもつ、総合周産期母子医療センターを見学しました。
MFICU30床、NICU60床を備える世界最大規模の施設として、ハイリスク妊娠や新生児に対する高度な医療に加え、お母さんやご家族への心理的支援を含めた包括的な周産期医療が行われています。
また、県内有数の急性期医療を担う診療体制や、がん・心疾患・救命救急など世界水準の高度専門医療、手術支援ロボット「ダビンチ」を活用した先進的な医療についても紹介いただき、日本の医療提供体制への理解を深めました。
あわせて、医療従事者の育成や臨床研究にも力を入れており、日々の診療で得られた知見を教育や研究へつなげ、その成果を再び臨床へ還元する取組みについても説明を受けました。
診療・教育・研究が相互に連携しながら医療を支える仕組みについて理解を深める機会となりました。
見学の途中では、インドネシアの先生方から診療体制や運用方法について質問が寄せられ、日本とインドネシア双方の医療従事者が、それぞれの医療現場について活発な意見交換を行いました。
診療現場での電子カルテ運用を見学
今回の視察では、当社の産婦人科向け電子カルテをご利用いただいている埼玉医科大学病院の先生から、日々の診療での活用についてもご説明いただきました。
妊婦健診では、どのような情報を電子カルテに記録しているのか、診療中に必要な情報をどのように確認しているのかなど、実際の診療の流れに沿ってお話しいただきました。
また、医師だけでなく、助産師や看護師との情報共有に電子カルテをどのように活用しているかについても説明があり、普段の診療でどのように使われているのかを実際の利用者からお話しいただいたことで、システムの機能だけでは伝わりにくい、実際の診療での運用方法をご覧いただく機会となりました。
実証事業を次のステップへ
今回の視察では、日本の医療現場で実際に行われている診療や電子カルテの運用について共有するとともに、日本とインドネシア双方の医療従事者が、それぞれの医療現場について意見を交わしました。
日本とインドネシアでは、医療制度や診療体制、医療機関を取り巻く環境が異なるため、日本の運用をそのまま導入できるわけではありません。
そのため、本プロジェクトでは現地の医療環境に合わせた運用方法を検証しながら、実証を進めていきます。
今回の日本での視察と、前回のインドネシア現地視察で得られた内容をもとに、実証事業はいよいよ検証の段階へ進みます。
現地の医療従事者と連携しながら運用を検証し、インドネシアの医療環境に適した母子保健モデルの構築を進めていきます。
